【完】麗人、月の姫
初めての陰国はとても暗くて、何だか怖い。
あの日のことが蘇ってきそうです………………。
「美麗。大丈夫だ。俺がいる」
「……………うん」
透真くんがいるという安心感を支えに城へと侵入する。
殆どの兵士が戦争に行っているからか、とても静かだ。
というか、人気が感じない。
「人いるのかな?」
どこ部屋を見てもいない。
「城の中だけ妙に明るいな。それに、城の中にある灰も気になる」
確かに外より中は何だか明るい。
それに、良くわからない灰のようなものがちらほら見える。
……………………………………これって。
「光を浴びたとき陰人はこうなる。と、なるとこの明るさは光?」
透真くんも同じこと考えてた。
私が人間界で初めて見たとき、透真くんが退治をしたとき、相手はこうなっていた。
「奥に進もう!」
奥に進むたびに灰は少なくなってくる。
「この先は王室……………!」
ドアは半開きで中が見える状態。
「あ………っ!!」
中には複数の灰と、消えかかっている王様がいた。
「王様!!」
直ぐさまかけよる。
掴もうとするがボロボロと崩れ落ちるため、触れることが出来ない。
「お前か……………なぜきた?」
「なぜって…………………あんな手紙をきくから………」
「側近たちが………犯人だった。俺は長い間騙されていたようだ」
そういう王様の顔は何だか切なさそうだった。
「なぜこんなことを?」
「ここの城のものは全員排除した。そして、俺もな。これで長い戦争が終わる。これで、平和になるんだ」
ホッとしたようにそう漏らす。
「一緒に平和な国を見ましょうよ…………なぜ、死ぬ必要があったのですか…………」
「これはケジメだ。手紙に書いたようにお前を殺そうとした罪、騙され続けていた罪、その他の罪全てを含めた…………な」
「和解だけでよかったのに………………それだけで平和になれたのに……………」
「次は普通の者として生まれたいものだ。王になるのは疲れた……………。この先、平和なこの国で、再び兄弟として皆が暮らせる日がくると………………いいな………」
そういうとボロボロと、王様は崩れ、灰となった。
あまりにも幼すぎる死だった。