【完】麗人、月の姫
結局、戦争は麗国が勝利し、陰国は王が死に敗退となった。
国自体は滅びたが、国民は今もなお、王不在で暮らしている。
「これで平和が訪れますね」
幸斗さんはそう嬉しそうに話す。
蓮さんは戦争の傷を癒やすために休暇されている。
「長かった戦争もこれで終わりだな」
透真くんもホッと息をつく。
私も安心したのか…………………急に眠気が襲ってきた。
この睡魔……………………異常すぎる。
なに……………………?
あ………………………。
そんなことを思いつつも、逆らえずに眠りに落ちる。
体の力がフッと抜け、支えのなくなった体は崩れ落ちる。
だが、途中で誰かに支えられた。
「おやすみ」
朦朧とする意識の中最後に聞こえた声は、今まで聞いたことないような優しくて、切ない透真くんの声だった。