記憶の中の記憶
私は思いっきり、賢人の頬を叩いた。

「どういう事か、分かってるの!?私達二人が、結婚するって言う事は、私は婚約者を裏切って、あなたは双子のお兄さんを裏切るって事なのよ!?ご両親だって、私達の事は認めないわ!!」

「それでも!!珠姫と一緒にいられるなら、家族を裏切ってもいいと思ったよ!!」

賢人は叫んだ後、はぁはぁと、呼吸が荒くなっていた。

「珠姫……」

「近づかないで。」

賢人は一歩、また一歩と、私に近づく。

「止めて!来ないで!!」

それでも、賢人は私の側に近づいてくる。

「いや!」

私が両手を前に出して、賢人を止めようとした時だ。

彼は、その両手をすり抜けて、自分の腕の中に、私を引き寄せた。
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