記憶の中の記憶
第5章 記憶の塗り替え
それから1か月後。
私は、良人に付き添い、リハビリを手伝った。
今では人工呼吸器も取れ、車イスで移動できるようになった。
「もどかしいよ。どこに行くにも、車椅子。」
良人は小さく、ため息をついた。
「私、その気持ち分かるわ。松葉杖を着いていた時は、本当にイライラしていたもの。」
自分の足なら、意識しないのに。
松葉杖だからこそ、余計どこに杖を着くか、滑らないかとか、変な気を使っていた。
「俺、歩けるようになるのかな。」
「なるわよ。私が歩けるようになったのよ?」
車椅子を押しながら、私は逐一、良人を励ましていた。
「珠姫。結婚はいつにする?」
「結婚?」
急に出た単語に、無意識に吹いてしまった。
「そんなに、急がなくてもいいんじゃない?」
「うん、でも……」
良人は私の手に、自分の手を重ねた。
「早くしないと、珠姫が遠くに行きそうな気がして。」
私は、良人に付き添い、リハビリを手伝った。
今では人工呼吸器も取れ、車イスで移動できるようになった。
「もどかしいよ。どこに行くにも、車椅子。」
良人は小さく、ため息をついた。
「私、その気持ち分かるわ。松葉杖を着いていた時は、本当にイライラしていたもの。」
自分の足なら、意識しないのに。
松葉杖だからこそ、余計どこに杖を着くか、滑らないかとか、変な気を使っていた。
「俺、歩けるようになるのかな。」
「なるわよ。私が歩けるようになったのよ?」
車椅子を押しながら、私は逐一、良人を励ましていた。
「珠姫。結婚はいつにする?」
「結婚?」
急に出た単語に、無意識に吹いてしまった。
「そんなに、急がなくてもいいんじゃない?」
「うん、でも……」
良人は私の手に、自分の手を重ねた。
「早くしないと、珠姫が遠くに行きそうな気がして。」