記憶の中の記憶
「そう……賢人は、元気?」

「ああ、元気だよ。」

あれから全く顔を見ない賢人の事情は、たまにお見舞いに来ると言う、良人を通じてしか、知る事はできなかった。

「何で賢人の事、気にするの?」

良人の発言に、ドキッとする。

「ああ、だって……あんなにお世話になったのに、全く会わなくなるって、何だか悪い気がして……」

「そんなモノじゃない?」

意外に冷たい言葉を言う良人に、少し戸惑った。

「なんだか……冷たいね。」

「そうかな。」

「お礼だってしてないし。」

「お礼なら、俺からしておくよ。」

「面と向かって、お礼を言いたいのよ。」

ムキになって言ってしまったせいか、良人は黙ってしまった。

「あの……良人……」

「そんなに、賢人に会いたいんだ。」

良人の言葉が、グサリと胸に刺さる。
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