記憶の中の記憶
そんなに?

私に疚しい気持ちでも、あるような言い方?


「何で、そんな言い方するの?」

「何でかな。自分の胸に、聞いてみたら?」

私はゴクンと、息を飲んだ。

「何が言いたいの?私と賢人の仲を、疑っているの?」

「疑うような事、俺がいない間に、二人でしてたの?」

質問を質問で返されて、イラッとした私は、良人に背中を向けた。

車椅子の良人は、まだそんなに早く、動く事はできない。

私は、思いきってリハビリ室の、窓の側に移動しようと思った。

「待ってよ。」

車椅子から伸ばした良人の手が、私の体をかする。

「珠姫。」

後ろから、良人が私の後を、付いてくるのが分かった。

「珠姫!」

でも、振り向きたくない。


「否定しろよ!珠姫!」

他の人が、驚いて私達を見る。
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