記憶の中の記憶
「うん。」

「私の婚約者が、賢人でよかった。」


すると賢人は、私の額にキスしてくれた。

「有り難う。僕の方こそ、珠姫が婚約者でよかった。」

嬉しくて、私は賢人の手を握った。

「有り難う。」

賢人の手から、温かい気持ちが、伝わってくる。


「珠姫。」

「なあに?」

私は椅子に座りながら、顔を近づける賢人を、見つめた。

「珠姫は……僕の光りだ。結婚相手に、僕を選んでくれて本当に幸せだ。」


なんて、幸せな瞬間なんだと思った。


「私もよ。」

心から、そう言えた。
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