記憶の中の記憶
ある日の事。

私はその日も、賢人の車で、借家に帰って来た。

「僕、荷物持って行くから。珠姫は先に、家の中に入っていて。」

「うん。」

病院からの帰り道。

近くのスーパーで買い物をし、その荷物を両手に持つ賢人。

それを見ながら、先に玄関の鍵を開け、家の中に入った。

すぐ側にあるリビングに入り、荷物を置く。

すると、賢人が玄関を開ける音がした。

「今、手伝うね。」

私は声を掛け、玄関に行こうとした。


「あっ……」

私は何かに躓き、松葉杖ごとその場に、倒れてしまった。

「珠姫!?」

大きな音に気づき、玄関にいる賢人が、荷物を置いて駆けつけてくれた。

「大丈夫か?怪我してないか?」

「うん。」

賢人は私を起こすと、松葉杖を取ってくれた。
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