記憶の中の記憶
その後、私達は眠りについた。

隣には、賢人。

私に、腕枕をしてくれている。


一方の私は、眠れなかった。

ずっと、賢人の寝顔を見ていたかった。

安心しきった顔で寝ている賢人を、一瞬でも見逃したくなかったのかもしれない。


「珠姫?……眠れないの?……」

目を瞑ったまま、寝言のように賢人は呟いた。

「ううん……」

「さっきから、やたら視線を感じる。」


ごめんなさい。

心で呟きながら、笑いを堪えた。


「おかげで、目、覚めた。」

賢人は笑いながら、仰向きになった。

「珠姫って、寝付き悪いんだっけ?」

「ううん。ものの数秒で寝るわ。賢人も知ってるでしょう?」

「だよね。今日に限って、何で寝ないの?」

そう言って、大きな欠伸をした。
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