記憶の中の記憶
目の前にいる賢人を見て、目眩がする。

景色がクラクラと、回り出す。

そして、治まりかけた頃、私の前に賢人によく似た人が、座っている。


「賢人?」

よく目を凝らすけれど、なんとなく違うような気がする。

髪型は似てるかも……

でも、雰囲気が、

「珠姫?」

賢人の呼び掛けに、ハッとする。

「どうしたの?」

「……ううん。ちょっと、頭が痛くなっただけ。」

「そう……」

賢人はそれ以上、深く聞いたりしない。


そして、しばらく食器の音だけが、鳴り響く。

「ねえ、珠姫。」

手が跳び跳ねる程、驚いた。

「今まで珠姫が、過去の事を思い出す時って……」

「う、うん。」

「頭が痛い時だよね。」

賢人の微笑みに、私も微笑んだ。

「そう……かな……」

自分でも、ちょっと信憑性がない。
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