ある雪の降る日私は運命の恋をする‐after story‐
少し肌寒い風が、私の髪の毛を揺らす。

当然、中庭には誰もいない。

私は、冷えたベンチに腰をかけて、空を見上げた。

…もう、夏もすぐそこだから、早朝でも、空は明るかった。

朝日が登ってきて、とても綺麗な朝焼けが空にかかる。

…これを見れるのも、もう、あと何回もないかもしれない…………

昨日の事を聞いてから、生活の中の、些細なことも気になるようになった。

それは、やっぱり、命があと短いからって事なのかな……?

そう考える度に胸がキューッとなって、目にうっすらと涙が浮かぶ。

"死"

その単語が、頭の中をグルグルとまわる。

嫌だ……

死にたくない……

怖い……

死んだらどうなるの……

涙がボロボロこぼれ、私は小さくしゃくりをあげて泣いた。

静まり返った中庭には、私の声が小さく響いた。
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