ある雪の降る日私は運命の恋をする‐after story‐
「う………んぅ……」

いつの間にか、寝てしまっていたようだ…

苦しそうな朱鳥の声で目が覚めた。

朱鳥の方を見ると、ビッショリと汗をかいて苦しそうだ。

ポンポンと肩を叩いて朱鳥を起こしてあげる。

「朱鳥、朱鳥」

「ん…………」

朱鳥はゆっくりと目を開けると俺を見て、それから大粒の涙をボロボロとこぼし始めた。

「…怖い夢見たの?」

そう聞くと、震えながら小さく頷く。

俺は朱鳥のことをギュッと抱きしめて、背中を優しくさする。

すると、朱鳥は俺の服に顔をくっつけてスリスリとする。

そんな朱鳥を見て、俺は朱鳥の頭を撫でてあげた。

「…おじさんがね…………」

「うん」

「私のこと、いっぱい蹴るの…………私だけならいいんだけど…お腹まで蹴るの……」

「うん」

「私、やだって言ったのに…お腹だけは……赤ちゃん居るからやめてっていったのに……」

そう言って震える朱鳥を俺はまたギュッと抱きしめた。

「大丈夫だよ。大丈夫。おじさんはいないからね…。もう、朱鳥もお腹の子も傷つける人はいないから」

そう声をかけてやると朱鳥は小さく頷いた。

「よし、じゃあ、もうそろそろ寝よ?」

そう言うと、朱鳥は小さく首を横に振った。

「寝たくないの?怖い?」

コクン

「そっか、じゃあ、リビング行く?」

…コクン

俺は朱鳥をそっと抱っこして、寝室を出た。
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