ある雪の降る日私は運命の恋をする‐after story‐
「____それで…」

今までに至る朱鳥の経緯や、アメリカでの治験の事、それを碧琉くんに伝えている時

「ん…………ぅ」

小さな声がして、朱鳥が小さく身動ぐ。

碧琉くんに、小声で断ってから、朱鳥の元へ向かう。

「…んぅ……ゃ…………やぁ…」

少し魘されてるみたい……

閉じた瞼の端、目尻の方から少し涙が流れた。

俺は、少し心配になって朱鳥を起こす。

「朱鳥、朱鳥。どうした?」

すると、朱鳥はうっすら目を開けてから、また涙を零した。

「……こ…………わ…かった……」

そう言って小さく泣き始めた朱鳥を抱きしめてよしよしと撫でてあげると朱鳥は少し落ち着いた。

「大丈夫。大丈夫だよ」

そう言って、なだめ続けると、朱鳥は泣き止んで、また眠たそうになってきた。

「ふ…………ま…」

「ん?」

「…ちょっと……く…るし…………」

「苦しい?どこが苦しい?息苦しい感じ?」

「わ……かんな…ぃ」

眠そうだけど、なかなか眠りにつけないようで、朱鳥はそう俺に訴えた。

俺は、体温計を取り出して熱を測ってみる。

測っているあいだに聴診もする。

……雑音はないけど、少し呼吸が浅いかな…

そう思っていると、体温計が鳴った。

ピピピピピッ♪

ピピピピピッ♪

熱は38.2か……

朱鳥の平熱は36くらいだから、少し熱がある。

苦しいのはきっと、それと、さっきの夢のせいで少し過呼吸気味になったからだろうな…

「朱鳥、苦しいのは多分呼吸と熱のせいだと思うから、1回大きく深呼吸してみて。スーハー…スーハー…」

朱鳥は俺の真似をして深呼吸をする。

深呼吸をしてもらいながら、聴診する。

さっきよりは、ましになったかな……

「うん。おっけー。少しまだ苦しさは残るかもしれないけど、苦しかったら酸素マスク外したりつけたりしていいから、調整してね。今は、少し呼吸浅いから着けておこうか。」

コクン

頷いた朱鳥の頭を撫でてから、俺はさっき外れてしまった酸素マスクを再び朱鳥につけた。

それから、少しトントンと優しくお腹の辺りをたたくと、朱鳥はうつらうつらとしてきて、いつの間にかそのまま眠ってしまっていた。
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