ある雪の降る日私は運命の恋をする‐after story‐
いよいよ出発の時間も迫ってくる。

今回は、朱鳥が病人だということもあり、特別に飛行機に乗る直前までの付き添いが許可された。

熱で辛そうにしている朱鳥の頭をたくさん撫でた。

朱鳥は、何度も涙をポロポロと零すから、親指で拭って、ギュッと抱きしめた。

さっきからは、寂しさが強くなったのか、俺のことを朱鳥からギューッと抱きしめて、嗚咽を零しながら泣いている。

俺は、そんな朱鳥にひたすら声をかけ続けた。

「朱鳥、大丈夫だよ。朱鳥なら頑張れる。俺も、ずっと応援してるからね。寂しいと思うけど、元気になったら、楽しいこと幸せなこといっぱいしよ?家族で旅行も行こ?……だからさ、その前に少し頑張れる?」

そう聞くと、朱鳥は力強く頷いて、俺の顔を見た

そして

「私、頑張る。葉月と柚月にも寂しい思いさせてるし、私はお母さんだから、頑張らなきゃ!…でも、頑張れなくなりそうになったら、電話……してね?」

そう言って朱鳥は小さく微笑んだ。

「もちろん」

俺はそう言って朱鳥をまたギュッと抱きしめた。
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