ある雪の降る日私は運命の恋をする‐after story‐
気がつけば、私は涙をボロボロとこぼして泣いていた。

「楓摩っ……」

"大丈夫。大丈夫。好きなだけ泣いていいから。"

「楓摩っ、楓摩っ……」

"うん。俺はここにいるからね。寂しくなったり、苦しい、辛い、悲しいって思ったらいつでも電話して大丈夫だから。"

「…………ん…辛いよ……」

"うん。どんな風に辛い?"

「ずっと、すごい具合悪くて、怖い夢も見るし、自分一人で病室にいると、不安で、悲しくなっちゃう」

"そっかそっか。副作用辛いんだね。不安になっちゃうのも、具合悪いの続いてるからだね。…でもね、副作用が強いのは、体の中で細胞が病気と頑張って戦ってる証拠だから。辛いけど、乗り越えられたら、今度こそ、治るよ。"

「…うん。……でもね、私、弱い…。副作用に負けちゃいそう…………」

"そうかな?朱鳥は、充分強いよ。普通の人なら、そんなに辛い治療、頑張れない。だけど、辛いのに、誰にも言わないで頑張って我慢してさ、朱鳥はすごい強いじゃん。誰かに助けを求めることは弱さじゃないよ。辛い時は辛いって言っていいから。"

「……わかった…。」

"うん。朱鳥は偉いね。本当に偉い。葉月も柚月も、朱鳥のこと、待ってるからね。みんな、朱鳥のこと応援してる。あと、少し。治療、頑張れそう?"

「辛くなったら、言っていいの?」

"もちろん"

「じゃあ…………頑張る……。絶対、元気になるもん…」

"うん!!その意気だよ!!頑張れ!朱鳥なら大丈夫だよ。……じゃあ、今日は熱も高くて辛いんでしょ?…もう寝な。朱鳥が元気になれるように、ずっと願ってる。おやすみ、いい夢を。"

「うん……おやすみ…。ありがと……楓摩」

それから、楓摩は私が寝付くまで電話を切らないでいてくれた。

久しぶりに心が暖かくなって、安心して眠れた。
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