ある雪の降る日私は運命の恋をする‐after story‐
ピリピリとした空気が面会室の中を満たす。
「……あなたが、朱鳥の義父さんですか?」
「はい、そうですが。……それより、あなた達は誰ですか。」
「僕は、朱鳥の夫の清水楓摩です。そして、こっちが、今、朱鳥をカウンセリングしてくれている、精神科の白井北斗です。今日は、朱鳥さんのことについて話をしに来ました。」
「はあ……」
楓摩は、今のところ、落ち着いた様子で淡々と話し続ける。
だけど、その目は怒りに満ちていて、淡々と話すのが逆に怖い。
「まず、最初に聞きたいことがあります。…………昔、朱鳥対して、ひどい暴力や暴言を吐いたのは本当ですか?」
「……んー、まあ、そんなこともありましたね」
「っ!!そんなことって……!!」
今にも立ち上がりそうな楓摩を、手で制する。
楓摩は、少し俺の方を向いてから小さく頷いた。
「…………今、僕達がなぜ、このまで来ているかと言うと、その暴力や暴言についてです。…朱鳥は、今でも、あなたにやられた暴力、暴言の後遺症であるトラウマに苦しめられ、傷ついています。こんなに、何年も経っているけど、その傷は消えていません。…知らない大人に対する恐怖心で、見ず知らずの人に話しかけられるだけで、パニックになって過呼吸を起こします。一人で外出することも、難しいです。それほど、心の傷は深いんです。」
「……それで?俺はたしかに、あいつを傷つけたかもしれないが、それはもうずっと前のことだ。今の状況なんて、知ったこっちゃねーよ。」
さらにピリピリとした空気が深まる。
「…知ったこっちゃねーよ、じゃ、ありません。あなたがしたことによる、後遺症なんです。朱鳥、あなたの元を離れてから、どんな生活を送っていたか知っていますか?重い白血病にかかって、抗がん剤の副作用と、悪夢……あなたに暴力を振るわれる夢に苦しめられて、それが治り、子供が産まれたあと、また白血病が再発して、さらに副作用とトラウマに悩まされ、挙句、何度も自傷行為をして、今は精神科に通う日々です。朱鳥、毎日のように泣いています。夜中、嗚咽をこぼしながら、震えて泣いているんです。"怖い、痛い、やめて"って」
「…………」
「正直、僕はあなたに対して、ものすごく怒りを覚えています。今でも朱鳥は苦しめられているんだ!!何年も前からずっと!!!!朱鳥は、あなたのせいで、苦しんで、悲しんで、今も恐怖に怯えている!!!!あなたは、見たことないんですか、あの苦しそうな表情!?あぁ、でもあなたはそれが好きなんですよね、そうですよね。だから、あんなに酷いことして平気でいられるんだ!!ふざけるなよ!!!!!朱鳥がどれだけっ「楓摩、そこら辺にしとけ。」
俺は、楓摩をなだめてから、口を開いた。
「はじめまして。今、朱鳥さんの心の面でのサポートをさせて頂いています、白井と申します。今、こいつから聞いた通り、朱鳥さんは苦しんでいるんです。精神科医としては、その苦しみを取り除いてあげたい。その思いで、面会をさせて頂きました。」
「それで」
「僕達は、朱鳥さんをあなたに会わせて、話し合って頂きたいと思っています。…そこで、今、朱鳥さんに対して思ってることを教えて頂けますか?」
「アイツに?…はぁ…………。俺がアイツに暴力を振るっていたのが悪いって?あんなの、躾だよ。躾。アイツ、ビービー泣いたり、喚いたりうるせえんだよ。それに、あの反抗的な態度。俺は、アイツを孤児院から拾ってきたというのに、立場ってもんをわかっちゃいねえ。」
「……そうですか。では、理不尽な暴力などはありませんでしたか?」
「理不尽?そんなの、知るかよ。……まあ、でもたまに腹たってる時のサンドバッグみたいにはしてたかもな。」
「サンドバッグって!!!お前っ!!!!!!!!」
「楓摩、だめ。」
楓摩は、口を噛み締め、悔しそうな表情をする。
「…あなたのやっていたことは犯罪です。今、ここで罪を償っているとしても、その間もずっと朱鳥さんは苦しんでいます。償っても、償いきれません。その事を、わかっていただけますか?」
「……は?今のアイツなんて知ったこっちゃねーって」
「……あなたが、朱鳥の義父さんですか?」
「はい、そうですが。……それより、あなた達は誰ですか。」
「僕は、朱鳥の夫の清水楓摩です。そして、こっちが、今、朱鳥をカウンセリングしてくれている、精神科の白井北斗です。今日は、朱鳥さんのことについて話をしに来ました。」
「はあ……」
楓摩は、今のところ、落ち着いた様子で淡々と話し続ける。
だけど、その目は怒りに満ちていて、淡々と話すのが逆に怖い。
「まず、最初に聞きたいことがあります。…………昔、朱鳥対して、ひどい暴力や暴言を吐いたのは本当ですか?」
「……んー、まあ、そんなこともありましたね」
「っ!!そんなことって……!!」
今にも立ち上がりそうな楓摩を、手で制する。
楓摩は、少し俺の方を向いてから小さく頷いた。
「…………今、僕達がなぜ、このまで来ているかと言うと、その暴力や暴言についてです。…朱鳥は、今でも、あなたにやられた暴力、暴言の後遺症であるトラウマに苦しめられ、傷ついています。こんなに、何年も経っているけど、その傷は消えていません。…知らない大人に対する恐怖心で、見ず知らずの人に話しかけられるだけで、パニックになって過呼吸を起こします。一人で外出することも、難しいです。それほど、心の傷は深いんです。」
「……それで?俺はたしかに、あいつを傷つけたかもしれないが、それはもうずっと前のことだ。今の状況なんて、知ったこっちゃねーよ。」
さらにピリピリとした空気が深まる。
「…知ったこっちゃねーよ、じゃ、ありません。あなたがしたことによる、後遺症なんです。朱鳥、あなたの元を離れてから、どんな生活を送っていたか知っていますか?重い白血病にかかって、抗がん剤の副作用と、悪夢……あなたに暴力を振るわれる夢に苦しめられて、それが治り、子供が産まれたあと、また白血病が再発して、さらに副作用とトラウマに悩まされ、挙句、何度も自傷行為をして、今は精神科に通う日々です。朱鳥、毎日のように泣いています。夜中、嗚咽をこぼしながら、震えて泣いているんです。"怖い、痛い、やめて"って」
「…………」
「正直、僕はあなたに対して、ものすごく怒りを覚えています。今でも朱鳥は苦しめられているんだ!!何年も前からずっと!!!!朱鳥は、あなたのせいで、苦しんで、悲しんで、今も恐怖に怯えている!!!!あなたは、見たことないんですか、あの苦しそうな表情!?あぁ、でもあなたはそれが好きなんですよね、そうですよね。だから、あんなに酷いことして平気でいられるんだ!!ふざけるなよ!!!!!朱鳥がどれだけっ「楓摩、そこら辺にしとけ。」
俺は、楓摩をなだめてから、口を開いた。
「はじめまして。今、朱鳥さんの心の面でのサポートをさせて頂いています、白井と申します。今、こいつから聞いた通り、朱鳥さんは苦しんでいるんです。精神科医としては、その苦しみを取り除いてあげたい。その思いで、面会をさせて頂きました。」
「それで」
「僕達は、朱鳥さんをあなたに会わせて、話し合って頂きたいと思っています。…そこで、今、朱鳥さんに対して思ってることを教えて頂けますか?」
「アイツに?…はぁ…………。俺がアイツに暴力を振るっていたのが悪いって?あんなの、躾だよ。躾。アイツ、ビービー泣いたり、喚いたりうるせえんだよ。それに、あの反抗的な態度。俺は、アイツを孤児院から拾ってきたというのに、立場ってもんをわかっちゃいねえ。」
「……そうですか。では、理不尽な暴力などはありませんでしたか?」
「理不尽?そんなの、知るかよ。……まあ、でもたまに腹たってる時のサンドバッグみたいにはしてたかもな。」
「サンドバッグって!!!お前っ!!!!!!!!」
「楓摩、だめ。」
楓摩は、口を噛み締め、悔しそうな表情をする。
「…あなたのやっていたことは犯罪です。今、ここで罪を償っているとしても、その間もずっと朱鳥さんは苦しんでいます。償っても、償いきれません。その事を、わかっていただけますか?」
「……は?今のアイツなんて知ったこっちゃねーって」