ある雪の降る日私は運命の恋をする‐after story‐
心電図なども着けられて、緊張、不安、怖さが一気に高まる。

そうして泣いていると、少しして手術着を着た陽向先生が入ってきた。

陽向先生は小児の心臓のプロらしいけど、私の心臓は子供の大きさほどしかないから、陽向先生が治療も担当してくれることになった。

「朱鳥ちゃん、これから始めるね。怖いかもしれないけど、ジッとしててね。動いたら危ないから。何かあったら、楓摩に伝えてね。」

…コクン

「よしじゃあ、刺すよ。管通すから、少しグリグリして気持ち悪いかもしれないけど我慢してね」

麻酔をしてるから痛くはないけど、なんかグリグリとしてる感じが伝わってくる。

それもまた、とても怖い。

「じゃあ、血管にワイヤー通していくね。タイミング見て進めていくから、朱鳥ちゃんは深呼吸して。」

そう言われて、深呼吸をするけど、怖さで体が少し震えてくる。

「朱鳥、大丈夫。リラックスして。目をつぶって大きく深呼吸。怖いことは考えないでいいよ。楽しいこと考えて。」

楓摩が優しく手を包み込んでくれる。

その温かさに少しだけ安心する。

けど、陽向先生が看護師さんに指示をしたりする言葉から、なんとなく、なにがやられているのかがわかり、それがまた怖い。

怖いけど、頑張って耐えて、楓摩の手を握る。

声を聞く限り、ワイヤーが通し終わって、カテーテルがついに入ってくる。

痛みはないのに、不安と緊張で、変な汗をかいてしまう。

なんだか、目を開けても、目の前がチカチカする。

その様子に気がついたのか、楓摩が声をかけてくれる。

「朱鳥?大丈夫?」

「……んっ………………変…な感じ」

「冷や汗かいてるね、目の前よく見えない?」

……コクン

「緊張から来る貧血か……」

「楓摩、どうした?」

「朱鳥、気分が少し悪いみたい。緊張して、貧血っぽい。冷や汗かいてる。」

「そっか………。朱鳥ちゃん、あと少し頑張れる?あとちょっとでカテーテル通るからね。あと15分で終わらせるから頑張ってくれる?」

…………コクン

私は、なんとか頷いて、楓摩の手を握り返した。
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