ある雪の降る日私は運命の恋をする‐after story‐

楓摩side

最近、少しずつ朱鳥のカウンセリングは進んでいるみたい。

悪夢もかなり少なくなって、順調かな……と思っていた頃、いつものようにクリニックに朱鳥を迎えに行くと、朱鳥はいつもより元気がなかった。

俺が朱鳥の待っている部屋に入るとすぐに駆けつけてきて、無言でギュッと抱きついてきた。

いつもと違う反応に少し戸惑っていると、少し遅れて北斗が来た。

「あ、楓摩、おかえり。」

「うん……。それより、どうしたの、朱鳥?」

「今日は前よりも少し強い刺激に慣れてもらうために、写真を見せての練習をしたんだ。軽いパニックも起こしちゃって、少し疲れたみたい。」

北斗の説明を聞きながら朱鳥の頭を撫でる。

朱鳥はその間もずっと、俺の服に顔を埋めてじっとしていた。

「だから、不安と寂しさもあったんじゃないかな。まあ、楓摩が迎えに来てくれたから、それで少し不安は薄れたみたいだけどね。」

「そっか。今日は疲れちゃったの?」

……コクン

「お疲れ様。じゃあ、家帰って、ゆっくりしよう?」

…コクン

そう頷いたのを確認して、俺は朱鳥を抱き上げた。

朱鳥の目元は少し濡れていた。
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