ある雪の降る日私は運命の恋をする‐after story‐
その日の次の日

いや、正確には同じ日

朝、俺は朱鳥に起こされた。

と言うよりは朱鳥に抱きつかれてびっくりして目が覚めた。

「……ん?どしたの…朱鳥」

眠い目をこすって朱鳥の頭を撫でる。

すると

「楓摩…………楓摩…抱っこ……」

と朱鳥はいつにも増して甘えた声を出す。

「えぇ……まだ眠いよ…もう少し寝よ?」

「いやぁっ!!……抱っこ…抱っこ…………!!」

………………?

なにか、少し様子が変だ。

「朱鳥、まだ朝早いよ?」

「起きちゃったの~!!」

少しずつ会話をしていくうちに、俺の違和感は確信へと変わっていく。

これって、もしかして幼児退行……ってやつか?

俺は、今にも泣き出しそうな朱鳥をとりあえず抱っこし、それから、そのままリビングへ向かった。

リビングの受話器を取って、まだ朝早いけど北斗へ電話をかける。

プルルルルルルッ♪

プルルルルルルッ♪

"……はい、もしもし"

「北斗?ごめん、こんな朝早くに」

"ん?楓摩……?どしたの?朱鳥ちゃんに、何かあった?"

「うん……多分だけど…幼児退行?みたいなやつ。急にいつもより甘えてきて、喋る言葉もなんか幼い感じ。」

"…了解。ちょっと待って、これから行くよ。"

北斗は、朱鳥のことを話すとすぐに眠そうな声から、仕事モードになり、駆けつけてくれることになった。
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