ある雪の降る日私は運命の恋をする‐after story‐
その夜

俺は朱鳥のすすり泣く声で目が覚めた。

「………………パパ…ママ……」

初めて、俺は朱鳥がそう言ったのを聞いた。

というのも、朱鳥は小さい時から両親がいなく、養護施設に預けられたのち、今PTSDの原因であるおじさんの家に預けられたから。

つまり、朱鳥は赤ちゃんの時から、ずっと、実の家族がいない状態だった。

もしかしたら、今、幼児退行しているせいで、赤ちゃんの頃の夢でも見ているのかもしれない。

「……やぁ………………行かないで!!朱鳥、置いていかないで!!」

そう言って、朱鳥は寝ながら泣いている。

俺は、たまらず朱鳥を抱きしめた。

泣き続ける朱鳥にの頭を撫でて、声をかけた。

「大丈夫、大丈夫だよ。朱鳥はもうひとりじゃない。」

夜の寝室には、朱鳥のすすり泣く声が響いていた。
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