ある雪の降る日私は運命の恋をする‐after story‐
「……すか…………朱鳥」

ハッと目を覚ますと、心配顔の楓摩がいた。

「朱鳥、大丈夫?かなり、魘されてたし、顔も真っ赤…。熱計ろっか。」

楓摩に支えてもらいながら、リビングへ向かう。

なんだか、体中に重りがついたみたいに体が重い。

それに、頭にモヤがかかったように思考回路がハッキリしなくてぼーっとする。

ピピピピピッ♪

ピピピピピッ♪

熱は38.3

普段の私からすれば、そこまで高くはないものの、一般的に考えたら高い熱だ。

なんで、こんなに簡単に熱出ちゃうのかな…

葉月と柚月だっているのに……

そんなことを考えているうちに、楓摩は、私に冷えピタを貼ったり、色々な簡単な処置をしてくれる。

だけど、本当に忙しそうで、2人のお世話に、朝食作り、洗濯物、自分の出勤準備…

私も手伝いたいのに、楓摩は、少し困ったように笑って「大丈夫だから、朱鳥は寝てて」と言う。

病人なのに、上手く動けないのに、手伝ったら足でまといになるだけなのかな…

あ、ダメ

マイナス思考が出てくる。

でも、ぼーっとする頭では一度でてきた気持ちはなかなか収まらない。

お母さんこそ、いっぱい動かないといけないのに…

朝食作りも、2人のお世話も私の仕事。

なのに、楓摩にやらせちゃってる……

でも、私が手伝ったら、それはそれで迷惑なんだよね…

でも…

でも……

でも…………

自分でもわけがわかんなくなって、気持ちがぐちゃぐちゃになって、いつの間にか泣いている。

ダメダメ

泣いたら楓摩に余計な手間をかかせちゃう。

忙しいのに、余計にやることを増やしてしまう。

ダメ…ダメ……

そう焦るうちに、このポンコツな体は、呼吸がうまく出来なくなる。

焦れば焦るほど、過呼吸になっちゃう。

ダメ、ダメ!!

落ち着かなきゃ

落ち着かせなきゃ

楓摩に迷惑かける。

だから、ダメ、早く、治って……

苦しい………………
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