ある雪の降る日私は運命の恋をする‐after story‐
「朱鳥~、朝だよ。起きて」

ポンポンと肩を叩かれ目を開けると、もうスーツに着替えた楓摩がいた。

「おはよ、体調はどう?」

「…少し怠いかな……」

「そっか。ご飯は?食べれる?」

そう聞かれて、私は少し考えてから

「酸っぱい物、ある?」

と楓摩に聞いた。

食欲はないのに、なぜか、酸っぱい物が無性に食べたくて、それなら、食べられる気がした。

「酸っぱい物……?グレープフルーツならあるけど、食べる?」

「ん。食べる。」

私は、ゆっくり体を起こすと、楓摩が支えながら、リビングまで連れてきてくれた。

それから、楓摩はキッチンへ行き、グレープフルーツを切って、それを持ってきてくれた。

「はい、どーぞ。無理せずに食べてね。」

「うん。」

私が、少しずつ食べ進めていくと、楓摩は心配そうな顔から、ほっとしたような顔になっていった。

「よかった。これなら、食べれるみたいだね。」

私がコクンと小さく頷くと、楓摩は、それから少し言いにくそうな顔をしてから

「…でも、ちょっと気になる事あるから、病院行っていい?」

と聞いてきた。

私は、少し不安になってきて、楓摩に

「病院?…私、なんか病気なの?」

とたずねる。

すると

楓摩はポンポンと頭を優しく撫でてくれた。

「ううん。病気ではないと思う。」

楓摩はそう言ってから

「それ、食べ終わったら、ソファの所おいで?」

そう言って、楓摩は優しく笑った。
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