ある雪の降る日私は運命の恋をする‐after story‐
「ただいま……」

憂鬱な気持ちで家に入る。

時刻は23時。

葉月と柚月はとっくに寝てる時間。

朱鳥は起きてるだろうか……

起きてたら…話さなきゃ……

"骨髄検査しよ"って

"再発……してるかも…"って

言わなきゃ……

…でも……でも………………

言いたくないよ……

朱鳥の悲しむ顔を見たくない。

あんなに幸せそうにしていた、朱鳥を壊したくない。

もう…あんな辛そうな顔は…………見たくない……

そんな事を思っていると、幸か不幸か朱鳥が部屋から出てきた。

「楓摩、おかえり。お仕事、遅くまでお疲れ様。」

そう言って、笑顔で出迎えてくれる朱鳥。

その顔を見ると、俺は、胸がキュッとなって、何故か…泣きそうになってしまった。

「どうしたの……楓摩、何かあった?」

そう言って、朱鳥は心配そうに、俺の背中をさすってくれる。

「ごめん…ちょっとリビング行こ……」

俺がそう言うと、朱鳥は静かに頷いた。
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