ある雪の降る日私は運命の恋をする‐after story‐
沈黙が続いてから何分かして、朱鳥は小さく口を開いた。

「……………………だめ?」

「え?」

「……治療、しないとだめ?」

朱鳥は、目に沢山の涙を貯めて俺にそう聞く。

「私、やだよ。…また、入院して、苦しい思いいっぱいするのは嫌!!」

そう言って、朱鳥はボロボロと大粒の涙を沢山こぼす。

「そんな、苦しい毎日を過ごすくらいなら、治療したくない!家で、葉月と柚月と好きな事して、最後まで幸せでいたい!!」

「朱鳥…………」

朱鳥が言う"最後"って………………



なんだよ…朱鳥は、生きたくないって言うのかよ……

このまま、死んでもいいのかよ!!



俺には、そんな怒りの気持ち



確かに……朱鳥に苦しい思いはして欲しくないし、そんな姿見たくない。

…葉月と柚月も朱鳥と過ごせた方が嬉しいよね……



という、2つの気持ちが葛藤していた。

そんな俺を見かねたのか、久翔が口を開く。

「朱鳥ちゃん、入院したら、子供にもなかなか会えないし、治療も苦しいのもわかる。…………だけどさ、治療しなかったら、放っておいたら、朱鳥ちゃんは死んじゃうんだよ?…葉月ちゃんと柚月くんだっけ……2人の成長も見れないし、いろんな人を悲しませるんだよ?」

朱鳥は、そう言われると、もっと悲しそうな顔をした。

きっと、朱鳥の中でも葛藤が生まれてるんだろう。

「…………私、治療したら死なない?…絶対治る?そうなら、頑張る………………けどさ、2回目の治療は1回目よりも効きにくいんでしょ?治る可能性も低いんでしょ??だったら、治療なんて賭けじゃん!!!そんな辛い思いしてまで賭けをして治らなかったらやだよ!」

朱鳥は、そう言ってもっと涙を流した。

……でも、朱鳥の言うことは最もだった。

確かに、1回目に比べれば、体に抗体ができてしまって、抗がん剤も効きにくい。

…だから、賭けというのもあながち間違いではない。

…………でも、それでも…

「やっぱり俺は治療して欲しいよ…賭けでもいいから、その少しの望にかけてみてほしい!!だって、挑戦しなかったら死んじゃうんだよ?そんなの嫌だ!!少しでもいいから生きれる可能性に賭けてよ!!」
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