ある雪の降る日私は運命の恋をする‐after story‐
「朱鳥、もしかしたらね、泣いたり熱出したりするのを迷惑だって思う人もいるかもしれない。……でもさ、少なくとも、俺たちは違うから。…じゃなきゃさ、小児科医なんてやってられないよ。」

そう言って、少し笑いながら、朱鳥の手をキュッと握る。

すると、朱鳥は俺の顔を見つめて、少し驚いたような顔をする。

「子供は大変だよ?大人と違うから、全然言う事聞いてくれないし、ワガママも言う。ちょっと、診察しようとするだけで大泣きする子もいる。……でもね、俺たちは、どんなワガママな子でも、泣き虫な子でも、みんな大好きなんだ。"泣く"って言うのは、自分の気持ちを相手に伝える行動でしょ?だから、何も迷惑なんかじゃないんだよ。いっぱい泣く子は、いっぱい笑う子だから。俺たちは、その笑顔を見るためなら、なんだってする。それが、どんなに大変でも、どんなに疲れることでも、笑顔が見れるなら良いんだ。」

俺が、そう言うと、朱鳥は少しポカンとした顔をしてから、スーッと涙を流した。

「……ほ、本当?…………私、迷惑じゃ……ない…?」

そう聞く朱鳥の頭を俺はポンポンと撫でた。

すると朱鳥は、小さく笑ってくれた。
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