TONE ~シークレットライブ~
発表会
静かな空間にバイオリンの音が響いていた。
母に連れられて来たバイオリンのコンクール。
イトコが出演するということで無理やり連れて来られたものの…眠い。
クラシックの音楽は子守唄代わりと、音楽の授業で学習して以来、自ら好んで聞いた覚えは今までない。
これなら家で好きなバンドの音を聞きながらマンガを読んでいる方がどんなに有意義な時間だろうと思いながらあくびを噛み殺していた。
イトコの姉さんの出番も終わったし、帰ってもいいよねぇと母に目で訴えるものの、遺伝子の繋がりはどこへやら全く伝わらないっていうか、視線すら合わない。
椅子に深く座ってぼーっと知らない演奏曲を聞く。
激しい拍手の音にビクッと気付き、演奏が終わったのを知る。そんな繰り返し。
そして、中央に新しい演奏者が立った。
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