TONE ~シークレットライブ~
「学生だからと出て来ないなんて、わがままで生意気だと思っていらした皆様にあいさつ」

 冗談めいて言ってる言葉だが、しっかり過去形で現しているとこが皆の感情をよく見てる。

 渡されたマイクを持ったユウだが、マキに向けた表情とは一変して笑顔になる。

 それがまた年上のお姉様方にはかわいくて溜まらないだろう。

「シンセ担当のユウです。今日は突然のライブなのにこんなに多くの人が集まってくれてありがとう」

 きぁあーと黄色い声援が飛ぶ。

 うん、でも、あれ?

 どこかで聞いたことなかったかな、この声。

「みんな今日のライブ、いつ知ったの?」

 会場内から

「お昼頃ー」
「夕方にー」
と呼びかけの質問に大声で返す声。

「お昼頃の人ー?」
と手を上げると半分くらいの人が同じように手を上げた。

 隣の友達も手を上げてる。

 私は…その友達の情報で夕方前くらいか。

「ふーん…」

 と会場を見渡したユウは視線をマキに向けた。
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