ペチュニアの恋文
ちなみにユウくんと蒼くんは、何度か家まで送ってくれたことがあるので、私の家を知っていたりするのだけれど。

でも、遊ぶ際に連絡を取ったり、わざわざ家まで誘いに来るというようなことは一度もなく、基本的に公園に行けば二人に会える…という感じだった。

何より、私自身が天候の悪い日以外は殆ど毎日と言って良い程、公園に足を運んでいたので、特に約束をする必要もなかったのだが。


「でも、そういう付き合いって純粋な子どもの世界ならではのものだし、貴重だよね。大人だと流石にそうはいかないもの。世の中、悪い人も沢山いるからね。下手に近寄ってくる輩には気を付けないと」

肩をすくめてそんなことを言う母に、思わず笑いがこぼれる。

「あはは、確かに」

あまりに夢も何もない話だけれど。現実的に考えてみれば、その通りだと思う。


(でも…。確かにそう考えると、子ども時代ってスゴイなぁ)


人を疑うことを知らない無垢な心。

そして、後先考えず想いを口にしたり、行動出来てしまう純粋さ。


身元の知らない曖昧な繋がりであっても『将来お嫁さんにする』とか簡単に言ってしまえるのだから。ある意味、尊いというか。

(でも実際は、ごっこ遊びや言葉遊びの延長みたいなものなんだよね)

言う方も、聞く方も深くは考えていない。

それこそ今になって、そんな昔の話を持ち出そうものなら、ユウくんだって恥ずかしくなって後悔してしまうかも知れない。
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