ペチュニアの恋文
この手紙を貰った頃。

年齢的に成長したのもあるが、母の帰りを公園で時間を潰しながら待つようなことをしなくても平気になっていた。

何より、ユウくんと蒼くんの二人ともが公園に来なくなってしまったことが私にとっては大きくて。最初はとにかく寂しくて、辛くて仕方なかったのを覚えている。

その内、公園へ行ったり行かなかったり、徐々に家で一人で過ごす時間が増えてゆき慣れていったのだが。

でも、家に一人でいることが当たり前になってからも、気持ちが落ち込んだり寂しくなった時に、この手紙を見れば、また頑張ろうって思えた。

公園でユウくんたちに会えた時みたいに、元気を貰える気がしたんだ。


(でも、何で途中から手紙じゃなくなっちゃったんだろう?)

本当は、こちらからも手紙を出せれば良かったのだが、ユウくんは引っ越し先を教えてはくれなかった。

もしかしたら、蒼くんなら知ってるのかも?…とも思ったけれど。

そもそも蒼くんの家すら知らず。公園へ現れない以上は会う機会もなく、聞きようもなかったのだ。

勿論、手紙じゃないと嫌だ…なんて贅沢を言うつもりはないけれど…。

(元気なのかな?って、気にはなるよね…)

手にしていた手紙を丁寧に折りたたんで封筒へと戻すと、また別の封筒へと手を伸ばす。

そこには、カードと共にしおりが入っていた。


「あ…。これ…」


それは、押し花をラミネート加工して作られたもので、未だに色褪せず貰った時の鮮やかさのまま、そこにあった。
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