ペチュニアの恋文
(この花、やっぱり可愛い…)

それは自分が好きな花のひとつだった。

でも…。

この花を見ていると、どうしても蒼くんを思い出してしまう。



「その花は、ペチュニアっていうんだよ」


公園の花壇に咲いていた花を、いつものように綺麗だなぁと眺めていたら後ろから突然声がして。振り向くと、そこには蒼くんがいて、中腰になるようにして一緒にその花を眺めていた。

「ぺちゅにあ?」

「うん。ペチュニア。日本名で『ツクバネアサガオ』ともいうんだって」

「へぇー。アサガオなら知ってるよっ」

「うん。ちょっとカタチがにてるよね」

その言葉に大きく頷いた。

「ピンク色してて、ひらひらカワイイお花だねっ」

「うん。この花はピンクいがいにもたくさんの色があるんだよ。ボクは赤とか白とかむらさきとかは見たことあるけど、きいろとか青いのとかもあるんだって」

「へぇー。見てみたいなぁ。きれいだろうなぁ」

風に僅かに揺れるピンク色のペチュニアの花を眺めながら、カラフルな花畑を想像していた。

「そう?ハルカは、この花すき?」

「うん。すき!」

蒼くんを振り返って笑うと、蒼くんが「じゃあ…」と口を開いた。


「ハルカのたんじょうびに、この花をプレゼントするよ」



「ペチュニア…」

蒼くんに教えて貰ったのを今でも鮮明に覚えている。

花の話をしている時の蒼くんは、生き生きとしていて本当に嬉しそうだった。
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