ペチュニアの恋文
(別に突き止めるとか、そういうんじゃないけど…)

しおりは綺麗に作られているが、どう見ても量産されているようなものではなく、ハンドメイド感が強くて。何処ででも手に入るような代物ではなさそうだったから。

(実際に売ってたら、他の花も見てみたいな…なんて)

実際は、そっちの方が本音だったりして。



「ええ。こちらは当店のものに間違いありませんよ」

花屋の店員の女性がにこやかに対応してくれる。

「お買い物していただいたお客様にサービスでお渡ししていますが、購入することも出来ますよ」

「ホントですかっ?」

嬉しくなって、思わず声が大きくなってしまった。

そんな遥の様子に、店員はくすくすと笑うとしおりの置いてあるレジ横のコーナーへと案内してくれた。

しおりは一枚100円と良心的な値段で、内心安堵する。

「私、実はこの押し花を初めて見た時、一目惚れしちゃったんです。綺麗だなぁって…」

様々な花で作られたしおりを手に取りながら、目をキラキラさせて眺めている遥の様子に、店員の女性は嬉しそうに手を合わせた。

「お嬢さんにそう言っていただけて嬉しいわっ。実は、それを作ることになったきっかけは、ウチの子のアイデアだったんです」

「お子さん、…ですか?」

「ええ。売れ残りや痛みかけて売れないものの中にも、まだ綺麗で生きている花はあって…。それをそのまま処分するのは勿体ないって言って、押し花にしたらどうかって…」
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