ペチュニアの恋文

「え…?」


蒼くんから語られた真相に。

私の頭の中は一瞬、真っ白になった。


(ウソ…?病気…?ユウくんが…??)


混乱している私の前で蒼くんが、どこか寂し気な瞳をして言った。

「あの時、ユウは入院することが決まっていた。闘病生活が長期化することも事前に知らされていたし、避けられない状況だったんだ」


(あんなに元気だったユウくんが…病気…)

自分が見ている限りでは全然そんな様子は見られなかった。

でも、闘病生活というからには重い病気なんだということが嫌でも判ってしまう。


「でも、ユウは遥には知られたくなかったんだ。だから引っ越しをすることになったと嘘を伝えたんだよ」

「なん…で…?」

「それは…。ユウなりの、強がりだったんだと思うよ」

「………」

言葉が出ないでいると、蒼くんが僅かに微笑んで見せた。

「男は、誰だって好きな女の子の前では弱い自分を見せたくはないものだからね」

「……っ…」

「ユウは本当に遥のことが好きだったんだよ。今日のことも本当に楽しみにしていた。遥と元気な姿で会う為に頑張るんだって…」

そこまで言ったところで、蒼くんは言葉を詰まらせた。

視線は薄暗くなってしまった公園内へと向けられている。

その無表情からは何も読み取ることが出来ない。

だけど、その蒼くんの横顔を見ていたら何だかざわざわとしたものが胸の奥に広がって来て、自分でも戸惑う。


何で、さっきから蒼くんは過去形なんだろう…?

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