ペチュニアの恋文
『ハルカへ』

『今、この手紙をハルカが読んでるということは、きっとオレは約束を守ることができなかったんだろうな。ごめんな、ハルカ。』

そんな書き出しから始まり、自分の病気のこと。実は引っ越しと偽り入院していたこと。それらに対しての謝罪などがつらつらと書かれていた。

(ユウくんが謝るようなことじゃないのに…)

そう思いながらも続きを読んでゆく。

『そういえば、ハルカをおよめさんにするって言ったの、おぼえてるか?結局それも実現することはできなかったけど、ただの冗談で言ったんじゃないことだけは信じてほしい。オレは本気だったんだよ。ずっとハルカのことが、好きだった。』

(ユウくん…)

そこまで読んで胸が締め付けられる思いがしたが、次の『まぁ、ハルカには他に好きな人がいたの…知ってるけどさ。』との言葉に瞳を大きくさせた。

『ハルカはアオのことが好きだったんだろ?オレは知ってたよ。ずっと、ハルカを見てたからさ。』

そう続く言葉に驚きを隠せない。

(……っ…)


遥は思わず咄嗟に隣に座る蒼を見上げたが、蒼は組んだ膝の上に頬杖をつき、ボーっと遠くを眺めているだけで、こちらの様子には気付いていないようだった。

何か考え事でもしているのだろうか。

(待っててくれる?…なんて、ワガママ言っちゃったかな…)

それでも、隣にいてくれていることが何より嬉しい。

ドキドキしてしまう鼓動を落ち着かせるように遥は小さく息を吐くと、再び視線を手紙へと戻した。
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