ペチュニアの恋文
蒼くんと口をきいたのは、もう随分と前のことになる。

それも挨拶を少し交わした程度で、会話なんてもう何年もしていない。

いつまでも無邪気な子どもの頃のままでは、いられないこと位分かっているけれど。

でも、それこそがユウくんと会うことを不安にさせている一因でもあった。


大好きだった大切な友達。

その関係が変わってしまうのが怖い。

失くしたくないのだ。

ユウくんとも蒼くんと同じように距離が出来て、友達でさえいられなくなったら…と思うと、どうしても怖気づいてしまう自分がいる。


(でも、蒼くんはきっと…。私のことが嫌いになったんだよね…)


いつだって三人で、ずっと一緒にいたのに。

ある時から蒼くんは公園に姿を見せなくなった。

それは、まだユウくんが引っ越しする少し前のことだ。

最初は、単に用事が出来て公園に遊びに来られないだけなのだと思っていたのだけれど、後々そうでないことが分かってしまった。

他の場所で偶然出会った時、一瞬彼はバツの悪そうな表情を見せると、私を避けるようにその場から走り去って行ったのだ。


本当は聞きたかった。

私、何か蒼くんにしちゃったのかな?

何か気に障るようなことしたのかな?…って。


でも、当時はショックが大き過ぎて。

それ以来、会う機会も殆どなく。結局何も聞けずに話せずにいる。

(せめて中学で同じクラスになれれば、まだ機会もあったのかも知れないけど…)
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