【完】壊愛ー姫は闇に魅入られてー
「柄じゃねーんだよな...人前で手繋ぐとか」
「あっ...なら、」
せっかく繋いでくれた手も
流が嫌ならしょうがないよね、と。
名残惜しさを隠して私からその手を離そうとした時
逆にギュッと手に力を込められ、離せない。
「可愛いムギのお願いを、俺が聞かないはずねーだろ?」
「...っ...、か、かわいいって、やめてよ、可愛くないし」
「素直なくせに素直じゃねーよな。
顔は真っ赤っ赤だぜ?」
「あっ、熱いんだもん!
それに...流が変なこと言うから...」
「変なこと?」
「かっ...可愛いとか。」
一旦前を向いて、また私の顔を見る流は、ヘラっと笑う。
力のないその顔に、胸がドキンと脈打った。
「二度見しても可愛いじゃん。
つまり何度見しても可愛いよ、お前は」
「...なんか軽い。
本当は他の子にも言ってるんでしょ?」
「あー?やめろやめろ。
この流様がムギ以外の女に言うわけないだろ、お前一筋だっつーの」
「ホントかなー?」
「ほんとほんと。
マジでお前だけだって」
「あはは...なにその浮気隠してる彼氏みたいな言い方、全然信用できないよ!」