【完】壊愛ー姫は闇に魅入られてー
恋人でもないのに、前から歩いてくる恋人達より、恋人らしく繋いだ手は自然な形に。
そろそろクリスマス
寒さとイルミネーションとサンタさん。
一歩外に出れば、周りはそれらで埋め尽くされていて
今年のクリスマスは、流の隣で過ごせたらなーって。
目に入ったコンビニの平らな屋根には
雪だるまとサンタさんの置き物が笑いながら座っていた。
可愛くてついついニヤけてしまう。
「ムギ、たまには飯食いに行こうぜ飯。
独身時代よく食いに行ってたんだよ」
「どっ、独身!!?
えっ、流って結婚してたの!!??」
衝撃の事実に、せっかく積もったはずの恋心が一気に溶けていく。
なにそれ
早く言ってよバカ
私のこと好きって言っておいて
結婚してたなんて許せない...
流なんか大っ嫌い。
「...なに泣いてんだ?お前」
繋いでない片方の手で、流が目元に必死にしがみついてる私の涙を拭ってくる。
「だって...独身時代って。
流結婚してるんでしょ...?
それなのに私のこと好きって言うから...意味わかんないし」
「はあ...?
お前俺17だぜ?この歳で結婚出来るわけねーだろ」
「えっ、じゃあ...」
「お前俺の冗談をまともに受け取るなよ。
さっきのはムギって言う、いい嫁さんが家に来てから、外食しなくなったっていう、俺の愛ある冗談だっつーの」
「...っ...!?」
「バカだなームギは。
こんな可愛い冗談通じねーとか、あっ、可愛いのはお前か、おう、お前だ」