【完】壊愛ー姫は闇に魅入られてー







恋人でもないのに、前から歩いてくる恋人達より、恋人らしく繋いだ手は自然な形に。



そろそろクリスマス


寒さとイルミネーションとサンタさん。


一歩外に出れば、周りはそれらで埋め尽くされていて
今年のクリスマスは、流の隣で過ごせたらなーって。




目に入ったコンビニの平らな屋根には
雪だるまとサンタさんの置き物が笑いながら座っていた。



可愛くてついついニヤけてしまう。





「ムギ、たまには飯食いに行こうぜ飯。
独身時代よく食いに行ってたんだよ」



「どっ、独身!!?
えっ、流って結婚してたの!!??」




衝撃の事実に、せっかく積もったはずの恋心が一気に溶けていく。



なにそれ


早く言ってよバカ



私のこと好きって言っておいて
結婚してたなんて許せない...



流なんか大っ嫌い。




「...なに泣いてんだ?お前」



繋いでない片方の手で、流が目元に必死にしがみついてる私の涙を拭ってくる。




「だって...独身時代って。
流結婚してるんでしょ...?
それなのに私のこと好きって言うから...意味わかんないし」



「はあ...?
お前俺17だぜ?この歳で結婚出来るわけねーだろ」



「えっ、じゃあ...」



「お前俺の冗談をまともに受け取るなよ。
さっきのはムギって言う、いい嫁さんが家に来てから、外食しなくなったっていう、俺の愛ある冗談だっつーの」



「...っ...!?」



「バカだなームギは。
こんな可愛い冗談通じねーとか、あっ、可愛いのはお前か、おう、お前だ」




< 109 / 390 >

この作品をシェア

pagetop