【完】壊愛ー姫は闇に魅入られてー
恥ずかしいことを平気で言ってくる流のせいで
冬なのに夏みたいに汗がダラダラと。
逆にこの汗で風邪引いたらどうしてくれるんだと
素直じゃない私はどこまでも可愛くなくて。
数分して着いた流いきつけのお店は
レンガで出来てる、ちょっと変わった形をしたオシャレな喫茶店だった。
「足下気をつけろよ、ムギ」
少しだけある段差に、ローファーの先がコツンと当たる。
流が言ってくれなかったら、多分転んでた。
「あっ、ありがとう流」
「ははっ、ここ圭がよく転んでたんだよ。
アイツけっこうドジだからなー」
「...圭とも来たの?」
「ああ。
あいつと会うときはほとんどここで会ってるな。
男2人で喫茶店とか、めっさ虚しいけどよ」
「...へぇー...」
流のお気に入りの場所
その場所を、私より先に知ってた圭にちょっとだけ嫉妬。
元カレに嫉妬してしまうほど
もう流にどっぷりハマってしまってるなんて。
圭の時には表に出なかった独占欲が
じわじわと顔に出ちゃって、多分いま、私の表情ひどいと思う。
こんなひどい顔、流に見られたくなくて
お店のドアを開けておいてくれてる流に、俯きながらお礼を言ってお店の中に入った。