【完】壊愛ー姫は闇に魅入られてー
圭にこちらの存在に気づいてほしくない。
流が美味しそうに食べてるチョコパフェは
あともう少しでなくなりそう。
こんな寒いなか、スプーンで掬ったアイスは
きっと夏の何倍も冷たくて体温を下げてしまうのに
流の豪快な食べっぷりに見てるこっちが寒くなってきた、頭痛い。
「おっしゃー!!ごちそうさん!」
さっきまでチョコパフェがあったグラスの中は
洗い終わったグラスみたいに透明で、キラキラしてた。
食後の一腹とポケットからタバコを出した流。
でもここは禁煙席
もちろん店員さんに止められて、流は口に火をつけてないタバコを咥えたままお会計をした。
「ごちそうさん!!」
「ごちそうさまでした〜!!」
結局流は圭の存在に気づかないまま
店から出ることに成功...
とは、いかず。
「おいムギ、あれ圭じゃね...?」
「...えっ?」
お店から出る直前
木製で出来たオシャレなドアノブに手をかけた瞬間
圭の存在に気づく流。
なんでこの人
最後の最後で気づくかな...。
あからさまに嫌な顔をする私。
だけどやっぱり空気を読まない流が
「圭ーーーー!!!!」なんて大きな声で呼ぶから
圭は落ち着きながら飲んでいたコーヒーを吹き出しそうになっていた。