【完】壊愛ー姫は闇に魅入られてー
圭が飲んでるコーヒーはブラックだ。
苦いそれを涼しい顔で飲んでる彼が、なんだか気に食わない。
あんなに大好きだった圭も
今じゃあ世界一大っ嫌いな男になったから、乙女心って複雑なのね、と、流から借りたマフラーをきつく巻いた。
イスの背中にかけてた真っ黒なトレンチコートを手に取り、長い足でレジの前に立ちお会計を済ませる圭。
若い女の店員さんは圭を見て頬を赤く染め
お釣りを渡すときだって手が震えていた。
顔に似合わず性格は最低最悪なんだから
惚れちゃダメだよ店員さんって、密かに耳打ちして教えてあげたい。
「ーーーでっ?、最近見ないと思ったら、ノンキにデートかよ、総長さん」
3人で外に出て、お店の近くにあったベンチに3人で座るという...なんとも訳の分からない状況に、ちょっと変な気分になる。
さっそく圭に嫌味を言われた流は、気にせずタバコを吸う。
「山崎の野郎に刺された傷も良くなったし。
いいだろ?別に。ムギとデートしたって」
「...別に。いいけどよ。
んな暇あるなら夜季にも顔出せよな。
山崎含めて、半分くらい抜けたぜ?」
「あららー...どんだけ嫌われてんの俺。
まあ別にあいつらが夜季から抜けようが俺には関係ないからいいんだけどよ」
「...」
「俺を刺した山崎にはきっちり"お礼"しないと気が済まねーな」
「...あのバカと同じく、刺したりなんかするなよ、流」
「バカ、んなもんに頼んなくても強いつーの、俺は」
「あぁ...知ってる」