【完】壊愛ー姫は闇に魅入られてー






この辺じゃ知らない人はいない、名の通った不良集団『夜季(やき)』。



今じゃ暴走族は絶滅危惧種に近い存在で、でも夜季は違った。


他の暴走族に相手にされなかったぐらい小さかった暴走族だったのにもかかわらず、勢力をあげ時代を追うごとに多くなってきてる。



夜季はこの辺じゃ1番人数が多い暴走族だと思う。




そしてそのトップにいるのが、もう"元"カレになってしまった初島圭(はつしま・けい)。



私は夜季の...姫だった。





「なあ?総長に振られたときどんな気持ちになった?」


「...」


「マジで遊びだって分からなかったのかよ。
総長俺たちによく言ってたぜ?『紬は都合のいい女』だって」



「...っ...」



「愛されてるって本気で思って総長の隣にいたのかよ。まじ笑えるぜ紬ちゃん」




お腹を抱えて笑い出す山崎君。
微かに彼から漂ってくるタバコの匂いは圭と同じ匂い。




夜風が冷たくて、溢れる涙さえ冷たくて。



幸せだと感じてた日々は全部ニセモノだったんだ。





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