【完】壊愛ー姫は闇に魅入られてー
パーカーにボサボサの髪。
クリスマスに似合わない格好のせいか
私の横を通るカップル達が私のことをチラチラと見てくる。
気にしてないなんて嘘になるけど...
気にしたら負けだと意地になって、逃げるようにコンビニに入った。
財布なんて持ってないし
持ってたとしてもお金なんてない。
嫌味っぽく棚に置かれて残ってるショートケーキが嫌い...
今の私みたいで嫌いよ...。
なにも買えないから仕方なく外に出た。
こんなとこ、ずっと居てもしょうがないし...
買い物しないくせに、何しに来たんだよ、と、店員さんの熱い視線に汗が出る。
夜季の倉庫に行くつもりが、フラフラと。
もう行先関係なく歩いてたら
ーーードンッ
人の体温に触れた。
いや...ぶつかったが正しいかな?
「ごめんなさい...」
すぐに顔を上げて謝った。
ボサボサの髪を手で乱しながら、余計ボサボサに。
すると
「えっ、なんで...」
ぶつかった相手と目が合った瞬間
喉の奥を通る風が、体の中から全身を冷やした。