【完】壊愛ー姫は闇に魅入られてー
なにも言わず連れてこられた神庭さんの家。
視界に入れたその家が立派すぎて開いた口が塞がらない。
赤色の屋根に3階建て、とにかくデカイ、実はお金持ちって、顔も良くてお金まで持ってるなんて、ますます色々と怪しい。
でも今更警戒心なんて持つ必要ないはず。
だってこの人、まるで私に興味無さそうなんだもん。
「入れよ家出少女、俺の家の中見れるとか貴重な体験だぜ?」
私の反応が嬉しかったのか、鼻を伸ばして鍵を開ける神庭さん。
開いたドア、恐る恐る「お邪魔します...」と足を踏み入れた。
「なんですかこれ...ほんとに玄関?」
こんなの部屋じゃん。
私この玄関に住んでいいよって言われたら絶対住むもん。
「まあくつろいでいけよ。
どうせ行く当てもないんだろ?暴走族の総長の女だったってだけで、すっげー訳ありっぽいしな」
「...っ...なんでそれを...」
「あー?お前とあの山崎?ってやつの会話丸聞こえだったぜ?その場にいる全員に聞こえてたからな、そのぐらいデカイ声で喋ってたし」