【完】壊愛ー姫は闇に魅入られてー
今日で何本目なんだろう。
またタバコを吸い始め私の隣に座る神庭さん。
この人はなんだか距離が近い。
馴れ馴れしいとは少し違う、多分誰にでもこんな感じなんだろう。
でも少し体を動かせただけで
私の腕と神庭さんの腕がぶつかっちゃうくらい距離が近いから、少し離れてほしい...緊張する。
「あの...あなたの名前は?」
横目で神庭さんに聞いてみた。
神庭さんは口を開いて私の顔にタバコの煙を吹きかけくるから咳が止まらない。
「俺は神庭流(かんば・りゅう)。
真面目だけが取り柄だ、よろしくなームギ」
「真面目だけが取り柄って、どの口が言ってるんですか!
ていうかムギって...」
「紬(つむぎ)だからムギ、俺が今付けてやったあだ名だ。
なんなら紬からムギに改名しろよ、可愛いだろ?」
「親からもらった名前改名しろって。やっぱり神庭さんって変な人」
「流でいい。
つか親の元に帰らない家出少女のお前がよく言うよ」
「...」
「ばーか、冗談だ冗談、気が済むまで居ろよ。
俺の親は仕事人間だからあんま帰ってこねーし。
つかもう1年もあいつらの顔見てねーし。
完全に一人暮らし状態だ」