【完】壊愛ー姫は闇に魅入られてー
今日会ったばっかりの人に『気が済むまで居ろよ』なんて、流は変だよ変すぎる。
警戒心とかないの?...まあ家に帰れない私からしたら超ラッキーなんだけど。
「ムギ、お前飯作れるか?」
グッと体を伸ばして腰を叩いてる流はスウェットを着てるせいでおじいちゃんみたい。
「作れるけど...材料による」
「俺ァ結構食うからな。
家に物がないかわりに、冷蔵庫の中だけはパンパンだぜ?
なんか作ってくれよ、今日からお前は住み込み家政婦だ」
確かに何もしないでただ居座るよりは
なにか役割をもらえた方が楽かもしれない。
キッチンまで広いなんて嫌味すぎる。
あんまり使われてない、大理石でつくられたキッチンに正直気が引ける、こんな所で料理したくない。
「オムライスにしよっか...庶民すぎる?」
冷蔵庫を開けながら、隣でニコニコしてる流に聞いてみる。
「俺は腹が満たされるならなんでもいいぜ?
つかなんだよ庶民って。俺も庶民だつーの。ムギは変なやつだな」
「いや、こんな立派な家に住んでてそれ言う?」
「見た目だけだ。中は冷めきってるだろ?...俺はあんまり好きじゃねえなこの家。
もっとジャングルみたいに自然でごちゃごちゃしたっぽい家がいいぜ」