【完】壊愛ー姫は闇に魅入られてー
簡単に終わらせられる恋の仕方なら
最初っから私なんか相手にしなきゃよかったのに。
いつの間にか好きになって
いつの間にか隣にいて
いつの間にか付き合っていた。
付き合う前から圭が暴走族の総長やってる事は知ってた。
私の親友がそういう話大好きだからイヤでも耳にしたし。
でも圭と私、結びつく接点なんかない、性格も常識もまるで違う。だから惚れたのかも
だから...好きだった、いや、今でも好き。
1日で忘れられるような恋なんてしてない。してないから辛いんだ。
ぼたぼたと、罪深く流れる涙
目頭に力を込めても涙腺が緩む。
「ムギ...泣いてんのか?」
俯いて流には顔を見せないようにしてたのに。
簡単にバレた、恥ずかしくて服で乱暴に涙を拭く。
「泣いてな...」
「うそ、声震えてるしバレバレだつーの。
嘘つく必要なんかねーだろ、バカかよ」
言いながら、オムライスを食べ終わったお皿に行儀悪く投げるようにスプーンを置く流。
カシャーンと鳴った金属音に、俯いた顔を上げれば、目の前には流の顔がすぐそこに。
...心臓が、鈍い低音を発しながら脈打った。