【完】壊愛ー姫は闇に魅入られてー
いきなら手首を掴まれ、目と目が合い、逸らせないままキスされた。
テーブル越し、お腹をテーブルにくいこませて前のめりになる流に信じられないと、唇と唇が離れた瞬間、驚きすぎて声が出ない。
な...んで...。
「...なんでキス...」
口の中でひろがったオムライスの味と流のキスを消すようにゴシゴシと腕で唇を拭く。
「ありゃ、魔が差した。
でも泣くムギが悪いと思うぞ」
魔が差したって...なにそれ...意味わかんない。
慰めるどころか残酷な事を平気で言う流、フルフルと震える体は限界を突破して、テーブルをバンッ!!とおもいっきり叩いてしまった。
叩いた振動でガシャガシャと揺れる食器。
でも流は平然とした態度。
「なにそれ...っ!!ひどいよこんなの!!
私、失恋して本当に落ち込んでるのに魔が差してキスするなんてひどいよッ!!!!」
「でも、一瞬忘れられただろ?元カレのこと」
「...っ!!」
「一瞬忘れられたってことは、一生忘れられるってことなんだよ。
お前は深く考えすぎだ、失恋に酔ってる自分が好きなだけ、男のこと本気で愛してなかった、そうだろ?」
「何言ってんの!流になにが分かるのよ!!」