【完】壊愛ー姫は闇に魅入られてー
「なんも知らないって顔してるな?」
落ち着いた様子で隣に座ってる
さっきぶつかった男が口を開く。
黒色の髪
ピアスだらけの耳
顔は完璧すぎるほど整っているけど...
人形みたいで生気のない顔をしている。
...ちょっとだけ流に似てる...
でも流の方がもっと人間らしいよ。
「...あの、誰なんですかあなた」
じっと見つめて聞けば、男はフッと鼻で笑って窓の外に目を向ける。
私の顔を見ないまま喋り始めた。
「昨日は"うち"の奴らが世話になったな」
「...はい?」
「ナンパ失敗して帰ってきた挙句に、俺の腕時計壊されたんだと嘆いてたぜ?」
男の話を聞いて思い出すのは昨日のこと。
ナンパ野郎ってまさか...
「あーー!!あなたまさか昨日のヤツらの仲間!!??」
「...」
「もしかしてナンパに成功しなかったからって私を誘拐!!??
どんだけ女に飢えてんのよあなた達、きゃー!!やだぁケダモノー!!!!」
「...」