【完】壊愛ー姫は闇に魅入られてー
行先も教えてくれない流は、いつもより威圧的でどこか冷たい。
黙って従ってバイクに乗った。
不安だ。
その不安を更に煽ったのは、走るバイクが流の家とは逆方向に向かってるから。
「ねぇ流、どこ行くの...?」
「...」
「ねぇ、流ってば...!」
聞こえてないの?
それとも聞こえないふり?
初めてこんなに流に冷たくされたから
戸惑いを隠せない。
「ーーー着いたぞ」
冷たい声がそう告げて。
バイクが止まった場所を見て
ーーードクン...っと静かに脈打った。