【完】壊愛ー姫は闇に魅入られてー
懐かしさなんて感じない。
出来るだけ避けて視界に入れないようにしてたこの場所に、まさか流に連れてこられるなんて...。
視界いっぱいに映る、私の"本当"のお家。
どこからか吹いてきた風が...喉の奥を冷やした。
「ねぇ...なんでこんなとこ連れてきたの?」
「...」
「帰ろうよ流」
「...」
「ねえってば!!!!!!」
流の肩を掴んで大声をあげた。
なのに、目を合わせるどころか口さえきいてくれない。
「紬...?」
カチャ...っとドアが開いた音がした。
久しぶりに見たお母さんの姿に、逃げようと背中を向けたけど
「紬なのね!!!!!!」
動かなかった足のせいで、お母さんに抱きしめられてしまった。