【完】壊愛ー姫は闇に魅入られてー
「冗談だよね、りゅう?」
『...悪いムギ、ちょっと考えたいことあんだよ』
「それなら私も一緒に...」
考えるから。
だから距離置こうだなんて言わないでよ...
ねぇやだよ流...
嘘だって、冗談だって
今すぐ言ってくれなきゃ...壊れちゃうよ...。
『ほんとにごめんなムギーーーー...』
ブチッっと話の途中に電話を切っちゃった。
謝られて、名前を呼ばれた後の言葉が
もしも『別れよう』の文字だったら絶対に嫌だから。
弱い私は自分から切っちゃったんだ...。
自分勝手だって分かってる
でも
「...っ...っ...」
絶対に離れたくない
あの温もりを独り占めしたい
誰にも渡したくない。
「好きだよ...りゅう...」
愛しすぎて胸が痛い。
痛いから、スマホを握りしめたまま泣いた。
スマホから聞こえてきた電話が切れた時に鳴る『ツゥー...ツゥー...』という音が苦しくて切なくて
私の頭の中で嫌に響き続けたんだ...。